真空パックとスピーカー

久石ソナ @sona_hisa は日常と作品の中に住む準備をしています。

「美容室で作る詩歌アンソロジー」通信販売のお知らせ

5月7日に行われた文学フリマin東京で初お披露目となった、「美容室で作る詩歌アンソロジー」の通信販売を開始いたします。 詩、短歌、俳句、漫画、と美容室で過ごす時間に書いていただいた作品たちが収録されています。 今回はそれぞれの作品をちょこっとず…

近状としてのお知らせ

春雷の夜にはっとさせられている。 前の記事からだいぶん経ってしまった。 継続が一つの鍵としてあるのなら、その鍵は手放さずにいこうと思う。 お知らせがいくつか。 すでに発表されたもの。 短歌総合新聞「梧葉」さんの特集「競詠 平成生まれの歌人たち」…

長崎ひとり旅で感じたこと〜後編〜

3月14日。小浜温泉は最高温度105度という超高温の温泉街である。その温泉の温度を利用した蒸し料理が多く存在する。朝食は蒸し野菜をメインとしたものであった。 朝風呂を済ませ、刈水地区へ。車が入れないというのはその言葉の通り、道が狭いということを指…

長崎ひとり旅で感じたこと〜中編〜

だんきゅう風呂を後にし、遅めの昼食をとる。温泉街の定食屋には独特な雰囲気が漂う。長崎の名物と言えば、ちゃんぽんと皿うどんが思い浮かぶ。ちゃんぽんは本格的な味を楽しもうと思い、皿うどんを注文。きっとこれは、雰囲気を味わうものなのだと思いつつ…

ここ最近思ったこと

長崎の旅の記録をぽちぽち書いているが、書き続けると長くなってしまう。 ここ最近、いくつかの依頼を頂いて、それは本当にありがたい。よく言われることだが、その依頼が最後だと思って全力で取り組むことを思う。 私が死ぬとしたら、どれだけの人が何を思…

長崎ひとり旅で感じたこと〜前編〜

3月13日月曜日。東京の早朝電車には多くの人が乗り込んでいた。あらゆるにおいが渦巻く車内で眩暈を覚えつつ、ゆるやかに朝日を迎え入れる車窓を眺めていた。長崎に就職する弟の手伝いをしつつ、一泊二日の長崎観光を企画していたが、急遽、弟の東京研修が入…

空の観測家

空の観測家久石ソナ 彼は空の観測家であった。窓辺の深緑の椅子に腰かけ日々の空を記録して生きている。今は夕暮れを迎え入れようとする空。その時間がもっとも変化の激しさを感じさせると、彼はノートに書き込んでいる。また、朝の空がもっとも好きだと彼は…

水脈とそこから開かれる光

差しこまれたのは日差しと暖房機の音。世間はあっという間に冬であった。鳥の鳴き声がひどく震えて聴こえるのは、寒さのせいだけではなくて。ゴミを出す。私から生まれてゆくゴミはビニールのきらきらに包まれて、雪がさらに包み込もうとしている。指先から…

北海道新聞文学賞。そして、日常へ

きちんとした形で思ったことを綴っていなかったので、昨年の北海道新聞文学賞のことについて書こうと思う。これは自分自身の日記として位置付けて。 候補作に選ばれました、と電話をいただいたのは昨年の9月頃で、ちょうど仕事をしていたときのことであった…

並走する電車

東京にひ弱な雪が降る。 これは積もらない方の雪だからすくうことができない。 電車の並走のとき、窓に映る人たちが運ばれているのがわかる。それぞれがそれぞれの帰る場所があり、それぞれの人生の時間を歩んでいると想像したとき、私にはすくいきれないほ…

海が連れてくるもの

季節を味わうなら海がいい。海は季節を映し出してくれる。この間、江ノ島の冬の海を見にいった。冬と海。それぞれがそれぞれを呼び合っているように、風はあまりにも冷たく、波は休まず震えていた。 海が舞台の歌はたくさんある。そして、海を渡る歌は渡るま…

東京に住むということ

昭和から続く人形町のお好み焼き屋で会計を済ませた時、女将さんから「持っていきなさい」と言われてアイスシューを渡された。 東京の冬は北海道よりも寒く感じる。そんなことを道民出身者は常々感じるらしく、私もそう感じる。 アイスシューを食べながら夜…

連作「雨が降れば」

歌壇賞に応募した連作です。 雨が降れば久石ソナ バーコードの筋から徐々に焦げだしてレンジを開ければ温かな飯 歯ブラシは次第に開花するもので今日が満開なのだと決めて 急かされているのは雲ですごく速い 帰宅の車内で日付を跨ぐ シャッターを降ろせばそ…

久石ソナ第一詩集『航海する雪』通信販売はこちら

人工衛星ははやいいきものでしたが、つねに浮いていて、地球のことをよく考えていました。人工衛星はみずから地球に関わるお仕事をしていて、それは生まれたときから望んでいたお仕事でしたから、外が暗くても働いているのでありました。地球からたまに支給…

住みたいということ

息を吸って吐いたら2017年。 いかがお過ごしですか? 久石ソナです。 東京は日差しによって冬の匂いや春の匂いに化けてでてくるのに、雪の気配がしないのは祈るようなむなしさを覚えます。 美瑛。という町が北海道にはあり、私は私の心のどこかで求めている…