北海道新聞文学賞。そして、日常へ
きちんとした形で思ったことを綴っていなかったので、昨年の北海道新聞文学賞のことについて書こうと思う。これは自分自身の日記として位置付けて。
候補作に選ばれました、と電話をいただいたのは昨年の9月頃で、ちょうど仕事をしていたときのことであった。お店とお店の隙間のスペースで電話をしたときに、広い大地に帰れるかもしれない、と思いつつすぐさま仕事に戻ったのを覚えている。
候補作に選ばれた、という電話の時に10月のいついつに最終選考があるので、電話に取れるようにしておいてください、と言われた。
よく芥川賞直木賞の時に作家らがバーや喫茶店で電話を待つあれができる!と思い、その日はどこかのバーで飲みながら電話を待つ計画を立て、ついでに大ヒット上映していた『君の名は。』のチケットを購入した。
最終選考当日、受賞していたら電話が来る時間帯に私は、新宿歌舞伎町で適当なバーを探していた。バーを探している最中に電話がかかってきて、受賞の知らせを受けてしまい、嬉しさと電話を待つ企画ができなかったなあ、と少し後悔しつつ映画館へ向かった。
北海道新聞文学賞の受賞者発表の日、朝刊に載っているよ、と家族から写真を送ってもらった。
【第50回北海道新聞文学賞】
— 久石ソナ (@sona_hisa) 2016年11月10日
この度、第一詩集『航海する雪』が北海道新聞文学賞の詩部門で本賞をいただきました。どうやら最年少らしいです。大変歴史のある賞をいただけたのも周りの支えがあってのこと、ありがとうございました!! pic.twitter.com/RTRImPNNdY
東京でインタビューしていただいた時の写真と内容が掲載されるのは、なんとも不思議な気分だ。
同時に、私を見て!なんて姿勢をすることに抵抗があるのは、自分に自信がないからなのだと思った。インタビューは自分を語らなければならない。ブログや日記もそれに近いところがある。自分語りの練習なのだ。
授賞式当日に休みを取って、北海道へ向かう。飛行機の中で授賞の挨拶を考え、新千歳空港に降り立った。
授賞式までには時間があったので、そのまま小樽へ行き、寿司を食べ、冬の海を眺めて、喫茶光でコーヒーを飲む。
日常がどのようになっていくか、というのはわからないことだが、自分の日常がこんな風な時間を歩むとは思ってもいなかった。だが、飲み込むのに時間はかからず、静かに、素直に授賞式を迎えた。
控え室で他の受賞者方や関係者方と挨拶をして、緊張したまま拍手の渦へ飛び込む。祝う側には敵はいないが、祝われる側になると敵がいるんじゃないか、と疑ってしまう。そんなことはないのだと、わかっていてもそう感じてしまうのは悪い癖だ。
懇親会を終え、二次会に参加した後、北大短歌のメンバーで三次会を開いてくれた。阿部嘉昭さんと松尾真由美さん、田中綾さんも駆けつけてくれた。すすきの近くのダイニングバーでお酒を飲み、こんなにも祝われるなんて、なんて素敵な日なのだろう、と泣きそうになる。
北海道新聞文学賞の授賞式でしたー。こんなに祝ってもらえる日は今日だけかな?と思いつつ、これからも精進していきます!! pic.twitter.com/04eA9FXI3Q
— 久石ソナ (@sona_hisa) 2016年11月22日
深夜の大通り公園。ちらちらの雪。テレビ塔の電子時計。
夜でも明るい街に溶け込みながら、これが日常として訪れていて受け入れている自分自身がいるとは!最高にやばい光たちだ!
北大短歌で題詠「久」「石」「ソナ」の歌会を開いてくれた。愛だなあ。愛に溢れた大地だなあと思いながら東京へ。
受賞した『航海する雪』は、学生時代から社会人になることまでをまとめている。
それからのことをまとめた詩集の準備も少しずつ進めている。
久石ソナ第一詩集『航海する雪』(第50回北海道新聞文学賞詩部門本賞受賞)の通信販売をしています。詩を書き始めてからいままでの作品、全25篇を収録しました。
文庫本サイズ100ページ
価格1500円
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