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真空パックとスピーカー

久石ソナ @sona_hisa は日常と作品の中に住む準備をしています。

水脈とそこから開かれる光

差しこまれたのは日差しと暖房機の音。世間はあっという間に冬であった。鳥の鳴き声がひどく震えて聴こえるのは、寒さのせいだけではなくて。ゴミを出す。私から生まれてゆくゴミはビニールのきらきらに包まれて、雪がさらに包み込もうとしている。指先から伝わるのは朝の水脈。水面の膜は今にも破けてしまいそうなほど脆く、私の指先はそれをつねに沿わせられている。ゴミステーションの前でタバコをふかし、消えてゆく煙のなかのわずかな温もりを探している。空を見上げれば積雪を運ぶ準備を進めていた。都会にはいまだかつてないほどの自信が積もるばかりで私は、ゴミステーションの前で立ち尽くしながら、ただ祈るように眺めている。水脈に繋がれている私は、人のあらゆる声を拾い集めていたが、それらはいずれ錆びてしまうことを知っている。ねえ。朝の大移動が始まる。足音が渦となってあらゆるものを飲み込もうとしている。それに抗う自信たち。タバコを吸い終わり、ゴミとして追加させたとき、生きていることを実感する。一日が歩き出す。水脈が揺れ始めて雪の瞬きが濁りだす。爪の薄さが気になりつつ。ゴミ回収時間までにはまだ時間がある。